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関節の役割 ジョイントバイジョイントについて

体の不調を改善するにあたって1つの考え方、ジョイントバイジョイントについてご紹介します。
ヒトの関節には主に積極的に動かしたい関節(モビリティ)と安定性を求める関節(スタビリティ)があります。
この関節が交互に配列されています。
首~手
上部頸椎:モビリティ(可動性)
下部頸椎:スタビリティ(安定性)
肩関節:モビリティ(可動性)
肘関節:スタビリティ(安定性)
手関節:モビリティ(可動性)
背骨~足
胸椎:モビリティ(可動性)
腰椎:スタビリティ(安定性)
股関節:モビリティ(可動性)
膝関節:スタビリティ(安定性)
足関節:モビリティ(可動性)
足部:スタビリティ(安定性)
一般の方には分かりにくい関節もあるので最も分かりやすい関節を例に出していきます。
モビリティ関節の代表は肩関節や股関節。
これらの関節は球関節といって関節部分が球体になっているのでありとあらゆる角度に動くのが分かると思います。
スタビリティ関節の代表は肘や膝。
これらの関節は蝶番関節と言われることもあり、曲げ伸ばししかできない関節です(厳密に言うと他に微細な動きもするんですがここでは割愛)。
これだけの説明で終わってしまうと、「で?」って話になってしまうと思います。
ただしこの情報をどのように使うかで不調改善やパフォーマンスアップに繋げることが出来ます。
それはどのような考え方かというと、「不調がある関節の隣の関節に原因があるかもしれない」という考え方です。
どういうことかというと、例えば膝が痛い人がいたとします。
そうすると膝の周りの筋肉をマッサージしたりすると思います。
これも間違いではない(というかケースバイケース)ですが、もしかしたら原因が隣の関節である股関節や足関節かも知れないということです。
モビリティ関節である股関節の動きが悪いせいで、安定性が必要な膝が代わりに過剰に動いてしまう(捻じれるなど)。
それで膝が痛む。というケースも多々あります。
このケースだと膝そのものは悪くなく、股関節が動かないのが悪いんです。
それが分かれば、股関節に何かしらのアプローチをすればいいことが分かりますよね。
他にも例はあります。
スポーツ障害で有名なテニス肘、野球肘、ゴルフ肘など。
これらもジョイントバイジョイントの理論で解消できることがあります。
肘の場合は、隣の関節は肩関節と手首です。
モビリティ関節の肩関節や手首の動きが悪いことで肘が過剰に頑張ってしまっていると肘が痛くなります。
これも膝と同様に、肩や手首にアプローチすることになるわけです。
そして最も(?)と言ってもいいかも知れない、ジョイントバイジョイントの考え方が使える症状に腰痛があります。
腰痛、関節で言えば腰椎のことです。
腰椎はスタビリティ関節です。
モビリティ関節ではありません。
これ、すごく大事です。
よくスポーツ現場などで「腰を切る」とか「腰を入れる」とか「腰を捻じる」とか表現することがありますが、腰は積極的に動かしたい関節ではありません。
安定性が必要な部分なんです。
にもかかわらず、スポーツ現場ではいまだに腰でどうこうという指導が飛び交っています。
ちなみに、腰椎は5つあるんですが、これら5つ合わせても回旋可動域は5~10°です。
腰を捻じっているように見える動作の実態は、お隣関節である胸椎と股関節でほとんど行われています。
でも現代人は猫背で胸椎が動きにくい状態であったり、股関節が正常可動域を満たしていない人がたくさんいます。
その状態で生活をしたりスポーツをしたりしているから、腰痛になるんです。
もちろんすべての原因がこれではありません。
でも、これを理解すると腰そのものへのアプローチが必要なのではなく、股関節や胸椎にアプローチをすればもしかしたら腰痛が治るかもしれないということが分かりますよね。
他にもジョイントバイジョイントの考え方が使える症状はたくさんありますが、今回は代表的なものの紹介をさせてもらいました。
「自分ももしかしたら?」という方は是非この考え方を取り入れてみてください。